採用サイトの社員インタビュー・コンテンツの作り方|企画から撮影・公開まで

採用サイトの社員インタビュー・コンテンツの作り方|企画から撮影・公開まで

採用サイトで「人にフォーカスしたコンテンツ」は、閲覧率が高くミスマッチ防止にも効果的な重要コンテンツです。しかし社員インタビューの制作は、記事4でも触れたとおり採用サイト制作の中で最も工数と時間がかかる工程の一つです。「どう企画すればいいか」「誰に出てもらうべきか」「写真はどうするか」など、初めて取り組む担当者には分からない点が多くあります。この記事では社員インタビューをはじめとした人にフォーカスしたコンテンツの企画から撮影・公開までの進め方を実務ベースで解説します。

人にフォーカスしたコンテンツの種類と特徴

採用サイトで「人にフォーカスしたコンテンツ」と一口に言っても、形式や目的はさまざまです。まず代表的なコンテンツの種類と、それぞれの特徴・向いている活用シーンを整理します。

コンテンツの種類 形式・特徴 向いている活用シーン
社員インタビュー 1名の社員にフォーカスして仕事内容・キャリア・価値観などを深掘りする 特定の職種・年次・バックグラウンドへの理解を深めたいとき
クロストーク・座談会 複数の社員が同じテーマについて語り合う対話形式 チームの雰囲気・社風・部署間の関係性を伝えたいとき
スペシャルトーク(テーマ型) 「入社の決め手」「失敗から学んだこと」など特定テーマに絞った企画型インタビュー 他社と差別化したい・読み物として面白いコンテンツを作りたいとき
1日の流れ・タイムライン ある社員の1日のスケジュールを時系列で紹介する 働くイメージが湧きにくい職種・業界向け。特に新卒に効果的
新卒インタビュー 入社1〜3年目の若手社員の成長・学び・苦労を語ってもらう 「自分も同じように成長できるか」を確認したい学生向け
中途入社社員の声 前職との違い・転職理由・入社後のギャップを中途入社者が語る 転職検討者のリアルな疑問に答えたいとき
キャリアストーリー 入社から現在までの異動・昇進・挑戦・失敗と学びを時系列で語る 長期的なキャリアイメージを伝えたいとき。中途に特に刺さりやすい

現在のトレンドは「人にフォーカスしたサイト」ですが、同様のコンテンツを作っている企業は多数あります。ただのインタビューを並べるだけでは差別化になりません。企画性・テーマ性・見せ方に工夫を持たせることで他社との違いを生み出せます。

コンテンツの企画の立て方

人にフォーカスしたコンテンツを作るとき、まず「誰に・何を・どんな形で届けるか」という企画の軸を固めることが重要です。企画が曖昧なまま撮影・インタビューを始めると、できあがったコンテンツが採用ターゲットに刺さらなかったり、ページとしての一貫性がなくなったりします。

企画を立てる3つの問い

  • 問い①
    誰に届けるコンテンツか
    新卒なのか中途なのか、どの職種・年齢層に向けたコンテンツかを明確にします。同じ社員インタビューでも、新卒向けなら「仕事への熱意・成長・働くイメージ」を、中途向けなら「転職の決め手・前職との違い・キャリアパス」を中心に語ってもらう設計になります。
  • 問い②
    何を伝えるコンテンツか
    仕事内容・社風・カルチャー・成長機会・働きやすさなど、そのコンテンツを通じて求職者に伝えたいメッセージを1〜2点に絞ります。あれもこれも詰め込もうとすると、結果的にどれも薄いコンテンツになります。
  • 問い③
    どんな形式・テーマで届けるか
    通常のインタビュー形式か、複数人のクロストークか、テーマを絞ったスペシャルトークか。形式とテーマの組み合わせがコンテンツの個性になります。他社の採用サイトと見比べたときに「このコンテンツは面白い」と思われる工夫を加えることが差別化につながります。

企画テーマの例

通常の「仕事内容インタビュー」から一歩踏み込んだテーマ設定をすることで、読み物としての面白さが増します。以下はテーマ設定の例です。

新卒向けテーマ例

  • 「入社1年目で一番驚いたこと」
  • 「就活中に感じた不安と、実際に入ってみてどうだったか」
  • 「文系出身が技術職に挑戦した話」
  • 「失敗から学んだ、自分なりの仕事の進め方」
  • 「先輩に聞く、この会社で働いて良かったこと」

中途向けテーマ例

  • 「転職を決めた理由と、入社後に感じたリアルなギャップ」
  • 「前職のスキルをどう活かし、何を新たに身につけたか」
  • 「ライフステージが変わっても働き続けられる理由」
  • 「マネージャーが語る、この会社で評価される人物像」
  • 「異業種から転職して3年、キャリアの変化を振り返る」

コンテンツの本数・構成を決める

企画の方向性が決まったら、制作するコンテンツの本数と全体の構成を決めます。このとき「多ければ多いほど良い」ではなく、予算・制作期間・社員の協力を得られる範囲でリアルに実現できる本数を設定することが重要です。

  • 最小構成:社員インタビュー3〜5名(職種・年次のバランスを取る)
  • 標準構成:社員インタビュー5〜8名+クロストーク1〜2本
  • 充実構成:社員インタビュー10名以上+クロストーク・1日の流れ・キャリアストーリーなど複数形式を組み合わせる

社員の選定・打診・情報公開範囲の確認

企画が固まったら、次は登場する社員の選定です。この工程は「社員本人の意志確認と情報公開範囲の確認」を丁寧に行う必要があるため、想定以上に時間がかかります。採用サイトの制作スケジュールが遅延する原因の多くはここにあります。

登場する社員を選ぶ視点

インタビューに登場する社員は、採用ターゲットが「自分に近い存在」として共感・参考にできる人選が基本です。以下の視点でバランスを取ることが理想です。

バランスを取りたい軸

  • 職種:営業・エンジニア・企画・事務など、募集する主要職種をカバーする
  • 年次:入社1〜3年目・中堅・マネージャーなどの多様な年次
  • 入社経路:新卒入社と中途入社の両方を含める
  • 性別・バックグラウンド:多様性を意識した人選
  • 部署・拠点:複数の部署や拠点がある場合はその多様性も反映する

登場に向いている社員の特徴

  • 自分の言葉で仕事の話ができる
  • 顔出しや名前の公開に抵抗が少ない
  • インタビュー日程の調整に協力的
  • 仕事に対して前向きな姿勢がある
  • 採用コンセプト・求める人物像に近い人物

社員への打診の進め方

候補者が決まったら、本人への打診を行います。強制にならないよう配慮しながら、趣旨と負担の範囲を丁寧に説明することが大切です。

  • 打診時に伝えるべき内容:採用サイトへの掲載であること・インタビューの所要時間・撮影の有無・公開時期・どのような質問をするかの概要
  • 確認が必要な情報公開の範囲:顔写真の掲載OK/NG・フルネーム掲載かイニシャルか・所属部署・役職の公開範囲・使用するSNSや外部メディアへの二次使用の可否
  • 確認の記録:口頭だけでなく、メールやチャットで確認内容を記録に残しておくことを推奨します

社員選定と打診のプロセスは、採用担当者が思っている以上に時間がかかります。候補者のリストアップ・上長への確認・本人への打診・情報公開範囲の社内検討と、ここだけで1〜2週間かかることも珍しくありません。制作の着手前から並行して動き出すことを強く推奨します。

インタビューの準備・実施・原稿化の流れ

社員への打診が完了したら、インタビューの準備・実施・原稿化の工程に進みます。各工程での注意点を実務ベースで解説します。

インタビュー前の準備

  • 質問リストを事前に作成・共有する:インタビュー当日にスムーズな会話が生まれるよう、質問内容を事前に対象社員に共有しておきます。社員が話の流れをイメージできることで、より深みのある回答が得られやすくなります
  • インタビュー形式を決める:対面インタビューかZoomなどのオンラインか。対面の方が表情やニュアンスが伝わりやすく、撮影も同時に行えますが、遠方の社員や日程調整が難しい場合はオンラインも有効です
  • 録音・録画の許可を得る:後から正確に原稿化するために録音・録画が必要です。事前に対象社員の同意を得ておきます
  • インタビューの所要時間を共有する:インタビュー本体は30〜60分が目安です。撮影を同日に行う場合はその時間も加算して伝えます

質問項目の設計例

インタビュー質問は「現在の仕事内容」「入社の経緯・決め手」「仕事のやりがい・難しさ」「会社の雰囲気・文化」「今後の目標・メッセージ」の5ブロックで構成するのが基本です。コンテンツのテーマに応じて質問の比重を変えます。

ブロック 質問例 新卒向け 中途向け
現在の仕事内容 「現在担当している業務を教えてください」「1日の仕事の流れはどんな感じですか?」
入社の経緯・決め手 「この会社を選んだ理由は何でしたか?」「複数の選択肢の中でここを選んだ決め手は?」
仕事のやりがい・難しさ 「仕事をしていて一番やりがいを感じる瞬間は?」「難しいと感じることはどんなときですか?」
成長・変化 「入社前後で自分が変わったと感じることは?」「前職と比べて変わったことは何ですか?」
会社の雰囲気・文化 「職場の雰囲気を一言で表すとどんな感じですか?」「社内の人間関係はどうですか?」
今後の目標・求職者へのメッセージ 「今後チャレンジしたいことは?」「どんな人と一緒に働きたいですか?」

インタビューの実施時の注意点

インタビュー当日、ライター・ディレクターがその場でファシリテートする場合は以下の点を意識します。

  • 最初に雑談で場の雰囲気をほぐす
  • 質問リストに縛られすぎず、面白い話が出たら掘り下げる
  • 「たとえば具体的に言うと?」「そのとき何を考えていましたか?」など深掘り質問を活用する
  • ネガティブな話題も「その後どう乗り越えましたか?」とポジティブな展開につなげる
  • 終わりに「他に伝えたいことはありますか?」と聞くと想定外の良い話が出ることがある

原稿化と修正・チェックの流れ

インタビュー後は録音・録画をもとにライターが原稿を執筆します。原稿ができたら以下の順でチェックを進めます。

  • STEP1
    ライターが初稿を作成する
    インタビューの内容を読み物として整理した初稿を作成します。話し言葉をそのまま書き起こすのではなく、読みやすい文章に再構成します。
  • STEP2
    採用担当者が事実確認・トーンの確認をする
    事実誤認がないか・採用サイト全体のトーンと合っているか・掲載してはいけない情報が含まれていないかを確認します。
  • STEP3
    インタビュー対象の社員本人が確認する
    自分の発言が正確に書かれているか・表現に違和感がないか・掲載を了承できる内容かを本人に確認してもらいます。ここで修正が入ることが多く、複数回の往復が発生する場合があります。
  • STEP4
    修正対応・最終確認・原稿FIX
    修正を反映して最終版を確定させます。修正のやり取りには期限を設けて、無限ループにならないよう管理することが重要です。

原稿の往復は「期限を設ける」ことで管理する

原稿チェックの工程で最もよくある問題が「確認依頼を送ったがなかなか返答が来ない」という状況です。対象社員は通常業務の合間に確認を行うため、期限を明示しないと後回しにされやすくなります。「〇月〇日(〇曜日)までにご確認をお願いします」と具体的な期限を設けることで、チェックの遅延を防ぎやすくなります。

写真撮影:プロへの依頼か自社撮影かの判断基準

インタビューと並行して、または前後して写真撮影を行います。「プロのカメラマンに依頼するか・自社のスマートフォンで撮影するか」は費用と品質のトレードオフです。判断基準を整理します。

プロのカメラマンに依頼する場合

採用サイトの写真撮影においてプロのカメラマンに依頼することは、サイト全体のクオリティを一段階高める投資です。機材の差だけでなく、構図・ライティング・撮影技術・表情の引き出し方など、プロならではの要素が写真のクオリティとして出力されます。

プロ依頼のメリット

  • 構図・ライティング・色味など、素人では得られないクオリティが期待できる
  • 自然な表情や動きのあるシーンを撮影するノウハウがある
  • データ選定・色調補正まで対応してもらえる
  • 撮影ディレクションを制作会社に任せると、デザインとの整合性が取れた写真になりやすい
  • 社員の「プロに撮ってもらった」という満足感が協力のモチベーションになることもある

プロ依頼の費用感と注意点

  • 撮影費・出張費・データ納品費などが発生する(数万円〜十数万円が目安)
  • 撮影当日のスケジュール調整に複数名が関わる
  • 撮影後のデータ納品まで数日〜1週間程度かかることがある
  • カメラマンの予約は早めに行うことが重要

スマートフォンで自社撮影する場合

現在のスマートフォンのカメラ性能は非常に高く、工夫次第でクオリティのある写真が撮れます。撮影費を予算の都合でねん出できない場合の現実的な選択肢です。

自社撮影のコツ

  • 光を味方にする:窓際など自然光が入る明るい場所で撮影する。逆光に注意する
  • 背景をシンプルにする:雑然とした背景は避け、オフィスの壁や自然の多い場所を選ぶ
  • 水平・垂直を意識する:カメラのグリッド線機能を使うと構図が整えやすい
  • 複数枚撮る:最低でも10〜20枚撮影して最も自然な表情のものを選ぶ
  • ポートレートモードを活用する:背景をぼかすことで人物が際立つ写真になる
  • 動きのあるシーンも撮る:作業中・会話中など自然な表情が出やすい

自社撮影の注意点

  • プロの写真と比べるとクオリティの差は出やすい
  • 撮影者(社員)のスキルによって品質がばらつく
  • 表情の硬さ・ぎこちなさが出やすいため、撮影前に雑談でリラックスさせる
  • データの選定・トリミング・明るさ調整などの編集作業が別途必要

プロ依頼か自社撮影かの判断フロー

  • 確認①撮影費の予算を確保できるか:確保できる場合はプロへの依頼を推奨。採用サイトの印象を大きく左右する投資として費用対効果が高い
  • 確認②製造業・技術職など現場・設備の撮影が必要か:現場の迫力や精緻さを伝えるにはプロの撮影が特に有効。機材の質が写真の説得力に影響する
  • 確認③競合他社はプロ撮影か自社撮影か:競合がプロ撮影のハイクオリティな写真を使っている場合、自社撮影では相対的に見劣りするリスクがある
  • 確認④上記のいずれも当てはまらない場合:スマートフォンでの自社撮影でも、コツを押さえれば十分な品質で対応できる

インタビューと撮影を同日に行うか別日にするか

インタビューと撮影を同日に行うと、スケジュール調整の回数を減らせます。一方で同日の場合は所要時間が長くなるため、対象社員への負担が増えます。撮影と会話を並行して行うと集中力が分散しやすい点も考慮が必要です。別日に分ける場合は調整コストが増えますが、インタビューと撮影それぞれに集中できます。どちらが良いかは撮影するカット数・対象社員のスケジュール・予算などを踏まえて判断してください。

デザイン・コーディング・公開までのチェックポイント

原稿と写真がFIXしたら、デザイン・コーディング・公開の工程に進みます。ここでは採用担当者側が確認すべきチェックポイントを整理します。

デザインチェックのポイント

  • ページの見出し・本文・写真の配置バランス:読み進めやすいリズムになっているか。テキストが多すぎて写真が小さくなっていないか
  • スマートフォンでの見え方を必ず確認する:PCデザインが綺麗でもスマートフォンで崩れていたり読みにくいケースがあります。実機での確認が必須です
  • 写真の見せ方:顔が切れていないか・不自然なトリミングになっていないか・背景が目立ちすぎていないか
  • 引用・強調の使い方:インタビュー内の印象的な発言をビジュアル的に強調する「プルクオート」は読者の目を引く効果がある

公開前の最終確認リスト

  • 事実確認:氏名・役職・入社年・所属部署などの基本情報に誤りがないか
  • 表記統一:社内用語・商品名・固有名詞の表記が統一されているか
  • 掲載範囲の確認:社員本人が同意した情報の範囲内で掲載されているか
  • リンクの確認:社員インタビュー一覧ページ・関連ページへのリンクが正しく機能しているか
  • OGP・メタ情報の設定:SNSでシェアされたときに見出し・説明文・サムネイル画像が正しく表示されるか

公開後の更新・追加のタイミング

社員インタビューは公開して終わりではありません。定期的に新しいインタビューを追加することで、採用サイトに「動き」が生まれます。更新頻度の目安として年2〜4回程度(半年に1回または四半期ごと)を設けている企業も多いです。更新が2年以上止まっているサイトは「採用に消極的な会社」という印象を与えるリスクがあるため、継続的な運用スキームを最初から設計しておくことが重要です。

まとめ

採用サイトの人にフォーカスしたコンテンツ制作のポイントを整理します。

  • POINT1企画の軸を固めてからコンテンツ制作を始める:「誰に・何を・どんな形で届けるか」が決まっていないと、できあがったコンテンツがターゲットに刺さらない
  • POINT2社員の選定・打診は制作着手前から動き出す:選定・打診・情報公開範囲の確認だけで1〜2週間かかることがある。早め着手が制作全体のスケジュールを安定させる
  • POINT3原稿チェックには期限を設ける:確認依頼に期限がないと後回しにされやすく、スケジュール遅延の原因になる
  • POINT4写真はプロへの依頼が理想、難しければスマートフォン撮影でも対応できる:コツを押さえれば自社撮影でも十分な品質になる。いずれにせよ人物写真は必ず掲載する
  • POINT5公開後の継続更新スキームを最初から設計する:更新が止まった採用サイトは「採用に消極的な会社」という印象を与えるリスクがある

社員インタビューをはじめとした人にフォーカスしたコンテンツは、採用サイトの中で最も求職者の心に刺さりやすいコンテンツです。企画・選定・インタビュー・撮影・原稿・デザインと工程は多いですが、一つひとつ丁寧に進めることで採用の質を大きく高めることができます。

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0円からはじめるWebマーケティング運営
0円からはじめるWebマーケティング運営者 https://zero-marke.jp/

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