採用サイトの制作を検討するとき、「いくらかかるのか」という費用感は最初に知りたい情報の一つです。ただ、採用サイトは通常のコーポレートサイトと比べて制作費が高くなりやすい傾向があり、その理由を知らないまま予算を組むと後から追加費用が発生するケースも少なくありません。この記事では、採用サイトの制作費用の相場をページ数・依頼先別に整理しながら、費用に影響する要素や自社対応でコストを抑える方法と注意点まで解説します。
採用サイトの制作費用の相場
採用サイトの制作費用は、ページ数・コンテンツの種類・制作会社の単価によって大きく変わります。あくまで一般的な費用感として、ページ数別の目安は以下のとおりです。
| ページ数の目安 | 制作費用の目安 | 対応できるコンテンツの規模感 |
|---|---|---|
| 10ページ未満 | 80万〜120万円程度 | 会社概要・募集要項・エントリーフォームなど必須コンテンツを中心にまとめたコンパクトな構成 |
| 10ページ以上20ページ | 150万〜200万円程度 | 社員インタビュー・職種別ページ・福利厚生など主要コンテンツを一通り揃えられる構成 |
| 20ページ以上 | 200万円〜 | 新卒・中途の分離、複数職種の深掘り、キャリアストーリーなど充実したコンテンツ構成 |
| ※制作会社の単価・仕様・依頼内容によって大きく変わります。あくまで目安としてご参照ください。 | ||
採用サイトは通常のコーポレートサイトと比べて制作費が高くなりやすい特徴があります。その主な理由は、画像の見せ方をデザインで工夫する必要があること、社員インタビューなど人にフォーカスしたコンテンツを新規に作成するケースが多いこと、そして撮影費などが別途発生しやすいことです。
依頼先によっても費用は変わる
制作費用は依頼先の種類によっても変わります。大手制作会社・中堅制作会社・フリーランス・自社制作(内製)の4つに大別して考えると分かりやすいです。
大手・中堅の制作会社に依頼する場合
- 費用:高め(上記相場の中〜上限あたりが目安)
- メリット:ディレクション・デザイン・コーディング・ライティングまで一貫して対応できる。競合調査や情報設計のノウハウも期待できる
- デメリット:費用が高くなりやすい。担当者によって品質にばらつきが出ることもある
フリーランスに依頼する場合
- 費用:比較的安価になるケースが多い
- メリット:コストを抑えやすい。やり取りがシンプルで意思疎通しやすいことが多い
- デメリット:デザイン・コーディング・ライティングをすべて一人でこなせる人は少なく、複数のフリーランスへの発注管理が必要になることがある
WordPressなどのCMSを活用して自社制作する場合
- 費用:ツール費用のみで制作費は抑えられる
- メリット:コストを大幅に抑えられる。更新も自社で完結しやすい
- デメリット:専門的なデザインや情報設計のノウハウを反映しにくい。担当者の工数が大きくなる
採用サイト特化型のSaaSツールを使う場合
- 費用:月額費用が発生するサブスクリプション型が多い
- メリット:テンプレートを使って短期間で公開できる。採用管理システム(ATS)と連携しやすいものも多い
- デメリット:デザインの自由度が低い。他社サイトと似た見た目になりやすい
費用が高くなりやすい理由と加算される費用
採用サイトの制作費見積もりを受け取ったときに「思ったより高い」と感じる理由の多くは、コーポレートサイトには発生しにくい費用が加算されているためです。代表的な加算要因を確認しておきましょう。
撮影費
採用サイトにおいて社員の顔が出ているかどうかは、信頼感と安心感に大きく影響します。人物写真のない採用サイトは無機質に見えやすく、場合によっては「人を出せない事情がある会社なのか」と受け取られるリスクさえあります。そのため、採用サイトでは多くの場合、社員の撮影が必要になります。
- プロのカメラマンに依頼する場合:撮影費・出張費・データ納品費などが加算されます。費用はかかりますが、構図・ライティング・撮影技術など素人では得られないクオリティが採用サイトを一段階高めてくれます。予算に組み込める場合は強く推奨します
- 自社社員が撮影する場合:現在のスマートフォンはカメラ性能が非常に向上しており、素人が撮影してもきれいな写真が撮れます。撮影費を予算の都合でねん出できない場合は、社員撮影でも十分な露出が可能です。ただしライティングや構図の工夫は意識したいところです
なお製造業など設備・施設・制作物があるモノづくり関連企業では、人物以外の写真も多数必要になるため、撮影はほぼマスト工程と考えておいた方が良いです。
ライティング・原稿作成費
社員インタビュー・会社紹介文・職種説明・福利厚生のコンテンツ化など、採用サイトは新規に原稿を作成するケースが多くあります。制作会社がライターを手配してインタビューから原稿化まで対応するケースと、自社で原稿を用意するケースで費用が変わります。
| 原稿対応の方式 | 費用への影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 制作会社がライターを手配して原稿作成まで対応 | ライティング費・取材費・修正費が加算される | 品質は安定しやすいが費用は高くなる |
| 自社で原稿を用意して制作会社に渡す | ライティング費を削減できる | 原稿の品質・分量・体裁によっては追加費用が発生することも。後から「やっぱり修正したい」は別途費用になるケースが多い |
| 自社でインタビューを実施・原稿化して渡す | さらにコスト削減が可能 | 社内工数が大きくなる。制作会社のノウハウが反映されにくい |
インタビューページの制作費
社員インタビューのページは、単純なテキストページと比べて制作コストが高くなりやすいコンテンツです。デザインの作り込み・写真の点数・インタビュー人数が増えるほど費用も上がります。また1名のインタビューを完成させるまでには、社員選定・打診・インタビュー実施・撮影・原稿チェック・デザイン・コーディングと多くの工程があります。
CMS構築費・システム費
採用ブログや社員インタビューを自社で更新できるようにするためにCMS(コンテンツ管理システム)を導入する場合、CMS構築費が加算されます。WordPressは無料で利用できますが、テンプレートや追加プラグインの費用・構築工数は別途かかります。
エントリーフォーム・採用管理システム連携費
エントリーフォームを外部の採用管理システム(ATS)と連携させる場合、連携設定費や月額のシステム利用料が別途発生することがあります。フォームの仕様が複雑なほど構築費も上がります。
採用サイトはコーポレートサイトより費用が高くなる傾向がある
通常のコーポレートサイトと比較して採用サイトの費用が高くなる主な理由は「人にフォーカスしたコンテンツ制作」と「撮影」の2点です。採用サイトは求職者に「この会社で働くイメージ」を持ってもらうことが目的であるため、社員の顔が見えるコンテンツへの投資は採用の質に直結します。費用を見て「高い」と感じた場合も、何にコストがかかっているのかを理解したうえで判断することが重要です。
自社対応でコストを抑える方法と注意点
予算が限られている場合、いくつかの工程を自社で対応することで制作費を抑えることが可能です。ただしそれぞれにメリットとデメリットがあります。事前に理解したうえで判断してください。
コスト削減の方法と注意点
- すべての原稿を自社で用意する:制作会社側のライティング費・原稿作成費・修正チェック工数がなくなるため費用逓減につながります。ただし「後からテキストを直したい」という要望は原則別途費用扱いになることを理解しておく必要があります
- ページ構成案と大まかな原稿をセットで渡す:構成案と原稿が揃っていると制作会社の設計工数が減るため費用を抑えやすくなります。ただし制作会社のノウハウ(導線設計・UX・情報設計)が反映されにくくなる点はデメリットです
- 写真素材をフォトストックサービスで賄う:プロ撮影費をなくすことで費用削減になります。ただし自社の社員が登場しないサイトになるため、リアリティと信頼感は低くなりやすいです
- 社員がスマートフォンで撮影する:現在のスマートフォンのカメラ性能は高く、工夫次第で十分な品質の写真が撮れます。撮影費の予算が取れない場合の現実的な選択肢です
「デザインだけ」の依頼には注意が必要
「構成案と原稿は自社で用意するので、デザインだけ作ってほしい」という依頼方法も費用を抑える手段の一つです。ただしこの方法にはリスクがあります。
過去に、デザインのようなページ構成案を詳細に作成して渡された案件がありました。制作会社としてはそれを踏襲する形でデザインを制作しましたが、デザイン性と使い勝手の面で制作側が理想とするレベルに届かないページになってしまいました。社外からも「少し古い印象のデザイン」と評されるケースがあったため、一概に良い方法とは言えません。安価にはなりますが、リスクを理解したうえで判断することをおすすめします。
制作会社のディレクターやデザイナーは、ページの構成・導線・配置・仕組みを設計段階から考慮しています。デザイン工程の前にその専門知識が反映されないと、「思っていたものと違う」というギャップが生まれやすくなります。費用を抑えること自体は合理的ですが、どこまでを自社対応にするかは慎重に判断してください。
自社対応にするかどうかの判断基準
| 工程 | 自社対応のしやすさ | コスト削減効果 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| テキスト原稿の作成 | ◎ | 大 | 品質・分量の担保が必要。後から変更すると追加費用になることも |
| 社内写真の撮影 | ○ | 中〜大 | スマホ撮影でも十分な場合あり。プロと比べるとクオリティ差は出る |
| ページ構成案の作成 | △ | 中 | 制作会社のノウハウが反映されにくくなる |
| デザインカンプの作成 | × | 中 | 制作会社の提案力が活かされず、仕上がりに不満が出るリスクが高い |
| コーディング | △〜× | 大 | 技術力が必要。品質担保が難しい場合は外注が無難 |
ページ数を増やすメリットと少ないページ数での注意点
費用を抑えたいからといってページ数を少なくすることには一定のリスクがあります。一方でページを増やすことには明確なメリットもあります。
ページを分けることのメリット
ページを分けることで情報を分類できます。「このページには○○の情報が得られる」と端的に見せることができ、サイトの訪問者にとっても分かりやすくなります。特に採用サイトでは、求職者が「自分に必要な情報」に素早くたどり着けるかどうかが離脱率に直結します。
ページ数が少ない場合のリスク
- 複数の情報を1ページに詰め込むため、求職者が欲しい情報を見つけにくくなる
- 新卒・中途それぞれに必要な情報が混在してしまいやすい
- 職種ごとの詳細情報が掲載しにくくなる
- ページが縦長になりすぎて読み疲れが起きやすい
ページ数が多い場合のメリット
- 情報を整理・分類して届けられる
- 新卒と中途で導線を分けやすい
- 職種ごとの詳細ページを設けられる
- 社員インタビューを複数掲載してリアリティを高められる
- SEOの観点でも各ページがキーワードを持てる
少ないページ数でも魅力的な採用サイトを作ることは可能ですが、掲載できる情報の量と種類に制限が生まれます。その点を踏まえて、予算とページ数のバランスをどこで取るかを制作会社と相談することが重要です。
予算の組み方と制作会社への相談のポイント
採用サイトの制作費用を予算に組む際、制作費本体以外にも考慮すべき費用項目があります。事前に把握しておくことで、予算オーバーを防げます。
採用サイト制作に関わる費用の全体像
- 費用①制作費本体:ディレクション・デザイン・コーディング・情報設計などの制作工数に対する費用
- 費用②ライティング・原稿費:社員インタビューの取材・執筆・修正、会社紹介文・職種説明文の作成費用
- 費用③撮影費:社員・オフィス・現場などの写真撮影費用。カメラマンへの依頼費・出張費・データ納品費が含まれる
- 費用④CMS構築費・システム費:WordPressなどのCMS構築費用、採用管理システムとの連携費用
- 費用⑤サーバー・ドメイン費:新規でサーバーとドメインを取得する場合の費用(年間数千円〜数万円程度)
- 費用⑥保守・運用費:公開後のサイト更新・セキュリティ対応・バックアップなどの月額保守費用
制作会社への見積もり依頼時の確認ポイント
見積もりを複数社から取り寄せるとき、単純に金額だけで比較するのは危険です。以下の点を確認しておくと、後からのトラブルを防げます。
- 見積もりに何が含まれていて何が含まれていないかを確認する:ライティング・撮影・CMS構築などが別途見積もりになっているケースがあります
- 修正対応の回数・範囲を確認する:デザイン修正が何回まで無料か、テキスト変更は対応可能かを確認しておきます
- 公開後の保守契約の有無と費用を確認する:保守なしの場合、不具合対応や更新のたびに費用が発生することがあります
- 制作会社が採用サイトの実績を持っているかを確認する:コーポレートサイトとは異なる設計ノウハウが必要なため、採用サイトの実績があるかどうかは重要な判断材料です
- 競合調査・情報設計を行うかを確認する:費用に含まれていなくても、ベンチマーク調査や簡易的な構成の提案をしてくれるかどうかを確認しておくと良いです
採用サイトに予算をかける意義
採用サイトへの投資対効果は、採用コストとの比較で考えると分かりやすいです。求人媒体への掲載費・エージェントへの成果報酬などと比較したとき、自社採用サイトからの応募が増えれば採用コストの削減につながります。また採用の質が上がれば早期退職のリスクも減り、長期的な人材コストの最適化にも寄与します。制作費を「コスト」ではなく「採用への投資」として考える視点を持つことが重要です。
まとめ
採用サイトの制作費用は、ページ数・依頼先・自社対応の範囲によって大きく変わります。まず全体の費用感と加算される費用項目を把握したうえで、予算の範囲でどこまで対応するかを整理することが重要です。
| ページ数 | 費用目安 | 適したケース |
|---|---|---|
| 10ページ未満 | 80万〜120万円 | 必須コンテンツを揃えたコンパクトなサイト。スタートアップや採用規模が小さい企業 |
| 10〜20ページ | 150万〜200万円 | 社員インタビューや職種別ページを含む標準的な規模。多くの企業に適した範囲 |
| 20ページ以上 | 200万円〜 | 新卒・中途の分離や複数職種の深掘りが必要な規模の大きい採用活動 |
費用を抑えたい場合は原稿の自社作成・スマートフォン撮影などの工程を自社対応にすることが有効ですが、制作会社のノウハウが反映されにくくなる点はトレードオフとして理解しておきましょう。
制作費用の相場を踏まえたうえで、次は制作期間の見通しを立てることも重要です。以下の関連記事も合わせてご参照ください。
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