「限定」で売上や顧客を増やす方法-すぐに使えるWeb・ECサイト改善

「限定」で売上や顧客を増やす方法-すぐに使えるWeb・ECサイト改善

「売上を増やしたい」「顧客を獲得したい」「新規会員の登録数を増やしたい」など、Webサイト(ホームページ)やECサイトのお悩みがあるかとかと思います。解決方法の一つとして「限定」と言う手法の利用もいいかもしれません。
「限定」というキーワードは、多くの消費者にとって強力な引力を持つ概念です。限られた時間や数量しかない商品やサービスは、消費者に対して「早く買わなければならない」という心理的なプレッシャーを与えます。この記事では、希少性の原理やプロスペクト理論を基にして、「おとり効果」や「スノッブ効果」を活用し、WebサイトやECサイトで売上や顧客を増やす方法について紹介します。

限定で売上や顧客を増やす方法とは

限定性を強調することで、消費者の購買意欲を高める手法は、マーケティングにおいて古くから用いられてきました。
いままでに実際の店舗で見かけたことが多いかと思いますが、「いまなら○○が1円」「無料体験実施中」「タイムセールで○○%割引」などが該当します。すでに多くのECサイトでこの手法は使われており、運用を担当していたECサイトではショップのバナー、商品ページ、広告用のLPと毎週、毎月更新をしてきました。
この「限定」は消費者もどのようなものかをおぼろげに理解していると思いますが、それでも「商品の購入」「サービスの利用」をしてしまうことが不思議ではありませんか?
その背後にある理論は、「希少性の原理」や「プロスペクト理論」です。これらの心理学的理論をWebサイトやECサイトに応用することで、サイトの訪問者に対して購買欲求を増加させる効果が期待できるのです。

希少性の原理

希少性の原理とは、商品やサービスの供給が限られていると、人々がそれをより魅力的に感じ、購買意欲が高まる心理現象です。この現象は、人々が手に入れにくいものほど価値があると考える傾向に基づいています。
例えば、限定品や期間限定のオファーは、消費者に「今買わないと手に入らないかもしれない」という感情を引き起こし、購入を促進します。

希少性を利用する場合、「今だけ」「数量限定」「期間限定」といったフレーズが効果的です。これらのフレーズは、消費者の行動を迅速にするための強力なトリガーとなります。
この限定というフレーズは「数量」「期限」「権利」があります。

  • 先着100名様限定
  • ○○日まで30%オフ
  • 会員登録者にもれなくプレゼント

WebサイトやECサイトでの具体的な事例

例えば、ECサイトで「残りわずか」「あと3時間で終了」といったメッセージを表示することで、訪問者に対して時間的な制約を強調し、購入を促すことができます。また、期間限定セールや特定の会員だけがアクセスできる限定商品を提供することで、より多くの消費者を引き付けることができます。

希少性の原理を活用する際の注意点

希少性を強調しすぎると、消費者が「単なるマーケティング戦略だ」と感じ、効果が薄れてしまうことがあります。そのため、希少性の原理を利用する際には、信頼性と透明性を保つことが重要です。また、実際に供給が限られていることを確保し、消費者の期待を裏切らないようにすることも大切です。

希少性の原理」のポイント
  • 希少性は消費者に強い購買動機を与える
  • 限定商品やサービスはプレミアム感を演出する
  • 期間限定オファーは即時の行動を促進する

プロスペクト理論

プロスペクト理論とは

プロスペクト理論は、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱された理論で、人々が意思決定を行う際に、利益よりも損失に対して強く反応する傾向があることを説明します。
つまり、人々は得る可能性のある利益よりも、失う可能性のある損失を避けようとする傾向が強いのです。これは、消費者が商品やサービスを選択する際に大きな影響を与える要因となります。

損失回避の心理的メカニズム

プロスペクト理論の核心は、「損失回避」の心理にあります。人々は利益を得ることよりも、損失を避けることに対して約2倍の強さで反応すると言われています。この傾向は、消費者が商品の選択肢を比較する際に、どれだけの価値を得るかではなく、どれだけの損失を避けられるかを基準に判断することを示しています。

このメカニズムを理解することで、マーケティングや広告のメッセージにおいて、消費者に「損失を避けるための選択」を強調することが有効であると考えられます。

プロスペクト理論を活用したマーケティング戦略

プロスペクト理論を活用したマーケティング戦略の一つとして、「今行動しないと損をする」というメッセージを強調する方法があります。例えば、限定セールや特典の期限を設け、「今すぐ購入しないとこの機会を逃してしまう」といったプレッシャーを与えることで、消費者に迅速な意思決定を促すことができます。

この戦略は、特に期間限定のキャンペーンや数量限定の商品において効果的であり、消費者が「損失」を避けるために購入を急ぐ状況を作り出します。

WebサイトやECサイトでの適用事例

WebサイトやECサイトでは、プロスペクト理論を活用してコンバージョン率を高めることが可能です。例えば、オンラインショップで「今すぐ購入すれば送料無料」というオファーを提示したり、「この商品は残りわずかです」と在庫数を表示することで、消費者に「今買わないと損をする」という感覚を持たせることができます。

また、会員限定のセールや特別なクーポンを期間限定で提供することで、会員登録や購入を促進することができます。これにより、消費者が即座に行動を起こすよう誘導することができます。

プロスペクト理論を使う際の注意点

プロスペクト理論を利用して損失回避を強調することは効果的ですが、過度にプレッシャーをかけると消費者が不信感を抱くリスクもあります。例えば、常に「今すぐ買わないと損をする」というメッセージを強調しすぎると、消費者はそのメッセージを疑うようになり、逆に購入を避ける可能性があります。

そのため、プロスペクト理論を活用する際には、バランスを保ち、消費者の信頼を損なわないように注意することが重要です。

「プロスペクト理論」のポイント
  • 損失を避けようとする消費者心理が働く
  • 「利益」を得る機会より、「損失」を避けることを選択する
  • 「獲得」する機会を逃す事の「損失」は強い反応がある

おとり効果

おとり効果とは

おとり効果とは、消費者に複数の選択肢を提示する際に、わざと選ばれにくい選択肢(おとり)を加えることで、特定の選択肢を相対的に魅力的に見せる手法です。この効果は、価格設定や商品のバリエーションを提示する際に特に有効であり、消費者の意思決定を誘導することができます。

おとり効果の心理的メカニズム

選択肢の「おとり」が持つ役割

おとり効果の背後には、消費者が選択肢を比較する際の認識に影響を与える心理的メカニズムがあります。例えば、3つの選択肢があるとします。最も安価な選択肢、最も高価な選択肢、そして中間の価格帯の選択肢です。ここで、中間の価格帯の選択肢を相対的に魅力的に見せるために、おとりとして少し高価な選択肢を追加します。これにより、中間の選択肢が「お得に見える」ようになり、消費者は自然とその選択をする傾向が高まります。

おとり効果を活用したマーケティング戦略

おとり効果を活用することで、消費者に特定の選択肢を促すことができます。例えば、レストランのメニューでは、あえて高価なメニューを追加し、他のメニューが相対的にお得に感じられるようにすることで、売りたいメニューを選ばせることが可能です。また、ECサイトでは、特定の商品パッケージが他の選択肢よりも「お得」に見えるように、おとりとなるパッケージを設定することが効果的です。

WebサイトやECサイトでの適用事例

WebサイトやECサイトでは、おとり効果を利用して売上を増加させることができます。例えば、サブスクリプションサービスでは、3つのプランを提示する際に、中間プランをお得に見せるために、おとりとして高額なプランを設定します。
このように、消費者が「中間のプランが最も価値がある」と感じてもらえるような設定や見せ方ができるかが重要です。

おとり効果を使う際の注意点

おとり効果を活用する際には、消費者の信頼を保つことが非常に重要です。あまりにも露骨におとりを使用すると、消費者に不快感を与える可能性があります。また、おとりとして提示する選択肢が現実的でない場合、消費者が全ての選択肢に対して疑念を抱く可能性もあります。そのため、おとり効果を利用する際には、バランスを取り、消費者が納得できるような形で選択肢を提供することが求められます。

スノッブ効果

スノッブ効果とは

スノッブ効果とは、他者とは異なる特別なものを所有することで、自己の価値を高めたいという消費者の欲求を利用する心理的効果です。一般的な商品やサービスではなく、限定的で入手困難なもの、または高額なものに対してこの効果が発揮されます。これにより、ブランドや商品が特定の社会階層や富裕層にとって魅力的に映り、プレミアム感を持たせることができます。

スノッブ効果の心理的メカニズム

希少性とステータスの関連性

スノッブ効果の背後には、他者とは異なることを望む心理的なメカニズムが存在します。特に、希少な商品や高価なサービスは、その所有が他者との差別化を示すものと見なされ、社会的なステータスシンボルとして機能します。このような商品やサービスを手に入れることは、消費者にとって「自分は特別である」という感覚を強化し、満足感を得る手段となります。

スノッブ効果を活用したマーケティング戦略

スノッブ効果を活用するためには、商品やサービスに高級感を演出し、その価値を強調することが重要です。具体的には、限定販売や特定の顧客層にしか提供されない商品ラインを導入することで、消費者に「これは誰にでも手に入るものではない」という感覚を与えることができます。また、価格設定を高くすることで、その商品やサービスが「特別」であるというメッセージを伝えることができます。

WebサイトやECサイトでの適用事例

WebサイトやECサイトでは、スノッブ効果を利用して高級感を演出し、特定のターゲット層を引きつけることが可能です。例えば、高額な商品に対して特別なページや専用の購入プロセスを設けることで、購入者に「特別感」を提供します。また、会員限定の商品や、特定の条件を満たした顧客のみがアクセスできる限定品を提供することで、消費者に「特別な人間しか手に入れられない」という意識を持たせることができます。

スノッブ効果を使う際の注意点

スノッブ効果を利用する際には、過度な排他性が消費者の反感を買う可能性があることに注意が必要です。特に、あまりに強調しすぎると、顧客層が限られすぎてしまい、売上に悪影響を与えることがあります。そのため、バランスを保ちつつ、高級感や特別感を適度に演出することが重要です。また、スノッブ効果を強調する際には、顧客の信頼を損なわないよう配慮することが求められます。

WebサイトやECサイトでの活用例

「限定」に関わる理論など紹介をしてきましたが、実際にどのようにWebサイトやECサイトにおいて「限定」を強調する方法が使われてきた、活用例をいくつか紹介します。

  • 限定セールのバナー表示
  • WebサイトやECサイトのトップページに限定セールのバナーを表示することで、訪問者の目を引き、購買意欲を高めます。

  • 残りわずかの在庫数を表示
  • 商品の在庫数が少ないことを表示することで、消費者に「早く購入しないと売り切れてしまう」という心理的プレッシャーを与えます。

  • 限定クーポンの発行
  • 期間限定や数量限定のクーポンを発行することで、消費者がすぐに行動を起こすよう促します。

  • 会員サイトの失効ポイント
  • ポイントの有効期限などを設定して、失効前にプッシュ通知、メール配信を行うことでポイント失効損失を強調します。

  • ○○様限定キャンペーンバナー
  • 商品、サービスなどの人数限定の訴求は「早く申し込まないと無くなる」という心理を駆り立てます

  • 限定品の訴求
  • 多くの人が手に入れられないような限定品(例えば限定生産、参加した方だけが得られる商品)は多くの人が持っていないものを「所有できる」という欲求を満たすことができます。

  • 松竹梅の選択肢でお得と欲しいを両立させる
  • グッズなど好きなこと、集めているコレクションなどでよく見る手法で従来の商品(またはサービスプラン)にプラスアルファのプランがある場合によりお得なものを選択してもらいやすくなります。
    以下の例で「2」は2,000円のもの1,000円プラスしただけで、手に入ります。
    競争心に依存するようなサービス、射幸心を煽るようなアプリなどで有効でな手法です。
    さらにコアなファン向けに上位プランを用意します。このようにして松竹梅の選択肢の真ん中が選びやすい状況を作ることで、売上にプラスオンを狙うことが可能になります。

    1. ゲームソフト:8,000円
    2. ゲームソフト+スターターキット:9,000円
    3. ゲームソフト+スターターキット+ゲームフィギュア:13,000円
    4. ※オプション1:スタートアップキット:2,000円
      ※オプション1:ゲームフィギュア:5,000円

数量限定の例ポイント失効、プロスペクト理論の例限定生産、希少性、スノッブ効果の例

まとめ

いかがでしたでしょうか。「限定」を活用することで、消費者の心理に訴えかけ、購買行動を促進することが可能です。この「限定」はバーナム効果を活用することで、さらに訴求力を持たせるなど、使い方は多くあります。
希少性の原理やプロスペクト理論を理解し、それに基づいた「おとり効果」や「スノッブ効果」を駆使することで、WebサイトやECサイトの売上や顧客獲得、新規会員の登録を向上させる効果が期待できます。事実過去に実施したキャンペーンなど、平常の状態に比べて問い合わせ、購入がアップした実績があります
これらの手法を実際のビジネスで活用し、成果を上げるために、日々のマーケティング活動に積極的に取り入れてみてください。

0円からはじめるWebマーケティング運営
0円からはじめるWebマーケティング運営者 https://zero-marke.jp/

Webの仕事に20年以上携わり、Web戦略支援、Webマーケティング、Webサイト制作、Webメディアの運用、Web広告の設計から運用などを担当。ナショナルクライアントから中小、ベンチャー、個人事業主までさまざまなクライアント様の仕事に従事。

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