Webサイト(ホームページ)の制作にかかる費用は、企業の規模や要望、目的、目標に応じて大きく異なります。
新たにホームページを作成する場合、いまある既存のWebサイトのリニューアルなどケースバイケースではありますが、「情報を発信する」「採用のため人とつながる」「見込み顧客を作る」「製品やサービスを販売する」「資料請求をしてもらう」などWeb上の役割は多数存在します。
Webサイトの役割を効果的にするためには、予算に関わる事柄を知ることは非常に重要です。本記事では、ホームページ作成料金の構成要素から、コストを削減するためのポイントまで、総合的に解説します。
見積項目になりやすいホームページ作成料金の要素
ホームページの作成料金は、主に以下の基本要素から構成されます。これらの要素は、サイトの規模や目的に応じて変動します。
1. 要件定義費用
要件定義は制作するサイトの「目的」「概要」「ページ構成」「ページ概要」「制作体制」「欲しい機能」「サイトを配置する環境(ドメイン、サーバー)」「ターゲット」「納品方法」などを明示するための工程です。
サイトの規模などによって、どこまで細かく要件を詰めるか変わってきます。「20ページくらいのこの内容で、製品紹介を目的としたサイト制作をしてほしい」とざっくりした内容から粗々の項目を定める程度の要件定義も存在します。
もちろん、細かく、広く定義を行う場合は要件定義だけで、3ヶ月かけるプロジェクトも存在します。どの程度必要かは双方確認しあう必要がありますが、期間、規模で費用は高くなります。
2. 設計費用
設計では要件定義の内容を具体的に資料にしていく段階です。よく行われる設計としては「画面設計」「機能設計」の2つはどの制作でも行われることが多いです。
- 画面設計:ワイヤーフレームといわれるページ内容をテキストと線、四角の要素で構成した資料です。デザインを制作する前の設計図になります。
- 機能設計:ホームページにプログラムを使った機能を入れる場合などに作成します。例えば、資料ダウンロードできるページで複数の資料にチェックを入れて「ダウンロードする」のボタンを押した際にどのページに画面を遷移させ、どのような表示をさせるか」といった内容を記載していきます。
規模や要望に応じて「キーワード設計」「環境設計」「SEO設計」「コンテンツ設計」「基本設計・詳細設計「構造設計」「テスト設計」など多数の設計を行う場合もあります。
設計の種類、数、期間によって費用は変わります。
3. デザイン費用
デザイン費用は、ホームページの外観やユーザーインターフェースの設計にかかるコストです。決まった形を流用するテンプレートを利用する場合は比較的安価ですが、オリジナルデザインやブランドに合わせたカスタマイズ、ロゴの制作を行うと、費用は高くなります。
4. ライティング・コンテンツ作成費用
コンテンツ作成費用には、テキスト、画像、動画などのコンテンツを制作するための費用が含まれます。プロのライターやデザイナー、フォトグラファーを雇うことで、質の高いコンテンツを提供できますが、その分コストもかかります。
5. 開発費用
開発費用には、サイトの機能やシステムの構築にかかる費用が含まれます。例えば、求人サイトの会員登録機能、ECサイトのショッピングカート機能の追加、カスタマイズなど、機能・カスタマイズを行うことで費用が増加します。
6. ドメインとサーバー費用
ホームページを公開するためには、ドメイン(ウェブアドレス)とサーバー(ウェブサイトをホスティングする場所)が必要です。これらの費用は、選ぶドメインの種類やサーバーの性能によって変動します。年間契約が一般的で、継続的な支払いが必要です。
5. テストと公開費用
ホームページを公開する前には、動作確認やバグの修正が必要です。テストの規模や複雑さ、テストに使用する端末の用意有無などの費用が発生します。また、サイトの公開時に設定変更に時間を要する場合は追加のコストがかかることもあります。
6. サイト保守と更新費用
公開後のサイトのメンテナンスや、定期的なコンテンツ更新も費用に含まれます。セキュリティ対策やバックアップ、機能追加など、サイトの運用を維持するために必要なコストです。
ページ数で知る制作費用の目安
5ページ程度
20万~40万円
はじめて会社のホームページを作りたいが、そんなに費用をかけたくないという場合に5ページほどのサイトを作る場合があります
内容としては「トップページ」「サービス内容」「会社概要」「問い合わせ」「プライバシーポリシー」などになります。希望によっては「ニュース」「事例」をつけます。
※設計、デザイン、構築をした場合の制作費用目安
10~20ページ
70万~200万円
割としっかりとしたコンテンツを作成する場合のページ数です。コーポレートサイトの場合は「事例」「特長」「詳しい事業内容」「採用」などのページを持つサイトは10~20ページほどで構成する場合があります。
また採用サイトも近年では作りこみをしますので、コーポレートサイトはあるので、採用サイトを新設したいという場合にこの規模のサイトを制作することがあります。
100ページ以上
400万~1,000万円
中規模のサイトでは、サービスや商品が多く100ページを超えるケースが多くなります。特にサービスや製品ごとに異なるブランドになると、それぞれデザインを制作し、ページ構成が変わる場合があるため費用が高くなります。
また中規模のWebサイトでは既存サイトのリニューアルも多く、データの移行、開発環境の立ち上げ、新規機能の追加・改修となるケースも少なくないため、制作が長期におよび、投入される人員も増えるため目安となる費用を超える場合も多くあります。
1,000ページ以上
2,000万円~
大規模サイトのリニューアルでは非常に多くの期間、人、予算を必要とします。またさまざまな機能が実装され、動的に作成されたページが存在するなど予算感がつかみにくく、実際のサイトを調査を時間をかけて行い見積をする必要があります。
外部システムと連携、アプリ連携を行う大規模サイトの場合で期間1年半、制作費2億円近くを要するリニューアルというケースもあるので、見積をする際は時間的余裕を持って行う必要があります。
サイトの種類別の費用
1. コーポレートサイト
コーポレートサイトは、企業の情報やサービスを紹介するためのサイトであり、比較的シンプルな構成になることが多いです。費用は、デザインや機能の複雑さによって異なりますが、一般的に他のサイトよりも低めのコストで作成できます。
2. ECサイト
ECサイトは、オンラインで商品を販売するためのサイトです。ショッピングカート、決済システム、在庫管理など、多くの機能を必要とするため、開発費用が高くなりがちです。また、セキュリティ対策も重要であり、その費用も考慮する必要があります。
3. ブログサイト
ブログサイトは、情報発信を主な目的としたサイトです。コンテンツの更新頻度が高いため、簡単に記事を投稿できるCMS(コンテンツ管理システム)の導入が一般的です。費用は比較的低く抑えられますが、デザインや機能にこだわると追加費用が発生します。
4. ポータルサイト
ポータルサイトは、多くの情報を集約し、ユーザーに提供するサイトです。ニュース、掲示板、SNS連携など、さまざまなコンテンツや機能を統合する必要があるため、開発費用や運用費用が高くなる傾向にあります。
5. ランディングページ
ランディングページは、特定のキャンペーンやプロモーションのために作成される1ページのサイトです。デザイン性やコピーライティングが重視され、短期間で結果を出すために特化した作りになります。費用はページ数が少ないため低めですが、質にこだわるとコストが増加します。
カスタマイズの度合いと費用
ホームページのカスタマイズの度合いによって、費用は大きく変動します。ここでは、カスタマイズのレベルごとに必要な費用を解説します。
1. テンプレート利用
テンプレートを利用したサイト作成は、最も費用を抑える方法の一つです。既存のテンプレートをカスタマイズして使用するため、デザイン費用や開発費用が低く抑えられます。ただし、他のサイトとデザインが似通ってしまうリスクがあります。
2. 半カスタムデザイン
半カスタムデザインは、テンプレートをベースにしながらも、部分的にオリジナルのデザインを取り入れる方法です。ブランドカラーやロゴの配置、特定の機能追加など、テンプレートに一定のカスタマイズを加えることで、費用を抑えつつ独自性を出すことができます。
3. フルカスタムデザイン
フルカスタムデザインは、ゼロからオリジナルのデザインを作成する方法です。完全にオーダーメイドのサイトを構築するため、デザイン費用や開発費用は最も高くなりますが、他のサイトとは一線を画した独自のサイトを作成できます。
ランニングコストと保守費用
ホームページを運用する際にかかるランニングコストと保守費用についても考慮する必要があります。これらの費用は、サイトを継続的に運用し、最新の状態を保つために不可欠です。
1. ドメインとサーバー費用
ドメインとサーバーの費用は、サイトがインターネット上で稼働し続けるために必要なランニングコストです。一般的には年間契約が多く、ドメイン費用は数千円、サーバー費用は性能によって異なりますが、年間数万円が相場です。
2. メンテナンス費用
メンテナンス費用には、セキュリティ更新、バグ修正、システムのアップデートなどが含まれます。特に、セキュリティ対策は重要であり、サイバー攻撃からサイトを守るための費用は必要不可欠です。
3. コンテンツ更新費用
サイトのコンテンツを定期的に更新するための費用も考慮に入れる必要があります。特に、ブログ記事やニュース、製品情報の更新が頻繁に行われるサイトでは、コンテンツ更新のためのライターや編集者の費用が発生します。
4. マーケティング費用
ホームページを効果的に運用するためには、マーケティング活動も必要です。SEO対策、広告運用、SNSでのプロモーションなど、集客やブランディングにかかる費用が含まれます。これらの活動を継続的に行うことで、サイトの価値を高め、ビジネスの成果につなげることができます。
費用削減のためのポイント
ホームページの制作費用を削減するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。無駄なコストを抑えつつ、効果的なサイトを構築するための方法を紹介します。
1. 必要最低限の機能を選ぶ
すべての機能を追加するのではなく、ビジネスにとって本当に必要な機能だけを選びましょう。必要最低限の機能に絞ることで、開発費用を大幅に削減できます。
2. テンプレートの活用
オリジナルデザインにこだわらず、テンプレートを活用することで、デザイン費用を削減できます。特に、予算が限られている場合は、テンプレートを利用したサイト作成を検討してみましょう。
3. 社内リソースの活用
社内にデザインや開発のスキルを持つスタッフがいる場合、そのリソースを最大限に活用しましょう。外部委託するよりもコストを抑えることができ、社内での知識やスキルの蓄積にもつながります。
4. フェーズごとに段階的に開発する
すべての機能を一度に実装するのではなく、フェーズごとに段階的に開発する方法も有効です。まずは最小限の機能でサイトを立ち上げ、その後の拡張を視野に入れて予算を管理しましょう。
見積もりを依頼する際の注意点
ホームページ制作の見積もりを依頼する際には、以下の点に注意しましょう。適切な見積もりを取得することで、予算オーバーを防ぎ、納得のいくサイトを作成することができます。
1. 明確な要件を伝える
見積もりを依頼する際には、サイトの目的や必要な機能、デザインの要望など、明確な要件を伝えることが重要です。要件が曖昧だと、見積もりが不正確になり、後から追加費用が発生する可能性があります。
2. 複数の制作会社から見積もりを取る
一つの制作会社に依頼するのではなく、複数の制作会社から見積もりを取りましょう。同じ要件であっても、制作会社によって提示される金額が異なるため、比較検討することでコストを抑えることができます。
3. 細かい内訳を確認する
見積もりの内訳を細かく確認し、それぞれの項目にかかる費用が妥当であるかをチェックしましょう。不明な点があれば、必ず質問し、納得のいくまで説明を受けることが大切です。
4. 将来の拡張性を考慮する
初期費用を抑えるために最低限の機能でスタートする場合でも、将来的に拡張することを考慮して、サイトの設計や契約内容を検討しましょう。将来的な追加費用が高くならないように計画することが重要です。
5. 保守契約の内容を確認する
サイトの保守契約についても確認しましょう。保守費用が適切であるか、どのようなサポートが受けられるかを理解しておくことで、予期せぬトラブルを防ぐことができます。