P-MAXキャンペーンの広告配信は非常に行いやすく、広告配信に不慣れな人でも簡単に設定ができて1日あたり数百円でも配信可能な広告です。すでにP-MAXで配信している方、これから広告配信を検討しているけど、P-MAXってどうなの?って思っている方に向けて、P-MAXキャンペーンの成功と失敗を交えて配信事例を紹介します。
P-MAXとは?という方はこちらのP-MAXとは-Google広告の使い方の記事で紹介しています。
ECサイト売上向上のP-MAX配信事例
小売業が運営するECサイトのP-MAX配信事例を紹介します。
年に2回ほど繁忙期を迎える事業を営む事業者のECサイトの保守運用と、広告配信を行っており、ECサイトの商品ページ、特設ページの制作・運用、LP制作・運用とページごとの効果測定などを行えるため、ウェブコントロールは行いやすい状態での配信になります。
課題
目標となるKPIがあり、Google広告に限らずオンライン、オフラインで広告配信を実施しているECサイトではありますが、毎年KPIの達成に貢献できる費用対効果が良い施策を求めていました。ちょうどP-MAXキャンペーンが効果的だという声やChatGPTやAIによるアシストの増加も後押ししたこともあり、P-MAXキャンペーンでの配信を行うことになりました。
まずは少額のテスト配信
このサイトでは、はじめての配信となるため「1,000円/日」の少額配信を実施。テスト配信は繁忙期ではないタイミングで、約1ヵ月間の配信を決定。
設定に関してはP-MAXキャンペーン用に商品などを含む数種類の画像を作成。広告の見出しや説明文はすでにリスティング広告での実績があるため一部を流用
シグナルは主に商品名、事業者名を中心に設定を行い、オーディエンスシグナルも同様に設定するのがよいでしょう。このケースでもGA4で長らく運用をしていたため自社データとしてGA4のデータを設定しました。
テスト配信の結果
約1ヵ月のテスト配信の結果初期としてはROAS 112%の結果となりP-MAXが十分に効果を発揮できると事業者側も判断し繁忙期を含めた本配信を決定。
| 配信費用 | 表示回数 | クリック数 | 収益 | ROAS |
|---|---|---|---|---|
| 30,682円 | 79,461 | 4,307 | 34,419 | 112.18% |
※上記の数字は記事用に調整したものになります
通常期の本配信を実施
テスト配信でまずまずの結果が得られたため、クライアント側と協議を行い、本配信をどのように行うかを定める工程を経て、今度は繁忙期前の通常期間でP-MAXを配信しようと決定しました。
設定については前回のテスト配信で設定したアセットグループに加えて、新しく商品とニーズ系のシグナルと画像を設定し本配信を実施。
通常期の本配信の結果
詳しい期間はお伝え出来ませんが新しく設定したアセットグループのパフォーマンスが非常によく、前回のテスト配信結果からの予測を事前に立てていましたが大きく上回る結果に。
| 配信費用 | 表示回数 | クリック数 | 収益 | ROAS |
|---|---|---|---|---|
| 144,663円 | 401,570 | 20,098 | 274,019 | 189.42% |
※上記の数字は記事用に調整したものになります
繁忙期の本配信を実施
いよいよ繁忙期となり、前回通常期に配信したP-MAXキャンペーンにアセットグループをさらに追加。アセットグループ1、グループ2は王道とも言うべきシグナルを設定しましたが、アセットグループ3に関してはP-MAXのさまざまな配信する特性を鑑みて、潜在層向けのシグナルを多く含めた設定としました。
見出しや広告画像についてもグループ1,2で設定したものを含めつつ、これまで潜在層への広告で培った内容を加味して設定。
繁忙期の本配信の結果
潜在層向けのアセットグループ3は配信当初はコンバージョンが付くなど、うまくいく気配がありましたが配信して半月ほどで失速。上昇気配が無く広告のパフォーマンスが悪いと判断したため、今回の繁忙期配信では一時停止処理に変更。
その他アセットグループ1と2については前回とほぼ同様の設定内容にも関わらず非常に大きく結果を延ばす事になり、繁忙期の売上に大きく寄与する結果に。
P-MAXキャンペーンではじめて「ROAS 300%」を超えターゲット層とP-MAXキャンペーンが相性が良いパターンと言えます。ただしアセットの設定次第ではROASが伸び悩む可能性が高いとも感じる配信であり、アセットグループ3を継続した場合、配信実績から予測するとROASは200%台だった可能性が大きくあります。
もしアセットグループ3単体でのP-MAX配信であれば途中で調整したとしても70%-90%程度の推移になる可能性のある推移でもありました。
| 配信費用 | 表示回数 | クリック数 | 収益 | ROAS |
|---|---|---|---|---|
| 364,764円 | 537,364 | 17,456 | 1,296,000 | 355.30% |
※上記の数字は記事用に調整したものになります
事例について
この事例では事業とP-MAXの特性が非常にマッチした例だと思います。
ここの数字は実際の数字を調整したものではあるのですが、実際にはもっと高い成果がでたタイミングもありました。細かい調整はできないものの、配信の無駄打ちをしないような調整を行っていたことも成果に繋がった要因と考えます。
採用系エントリー獲得のP-MAX配信事例
とある会社の採用系のP-MAX配信事例を紹介します。
特に繁忙期がいままでない企業ですが恒常的に人材の確保をを必要とする事業形態で、自社のウェブサイト(Organic)、外部紹介サイト(Referral)、外部採用メディア(Referral)、採用コンサルタント(オフライン)などで人材確保をしていましたが、さらなるチャネルを求めての施策となります。
配信前段階
目標となるKPIがほぼなく、また広告配信をいままでほぼしたことが無いという状況。つまり広告配信の過去データがないため、参考にするべき数字が無い状態での配信となり、さまざまなデータを使い予測値を立てる必要があり時間を配信までの工程を必要としました。
このように過去の広告データが無い場合でも、GA4のデータなどアクセス解析ツールのデータが利用できるため、コンバージョンやイベントの設定を事前に行っておくと、配信設定がスムーズです。
配信
繁忙期はないもの、各年の人材確保したデータがあったため、その数字を参考にテスト配信を実施。このサイトでは、はじめての配信となるため、事前にテスト配信を経て本配信を実施。
設定に関してはペルソナを作成した結果、シグナルとオーディエンスシグナルを各種設定。サイト内のエントリーに対してEFOを事前に行い、取りこぼしをしないように調整を実施。キーイベント自体も設定が存在しなかったので、GA4側のイベントとキーイベントを設定するなど、広告に関連するウェブページ、クリエイティブ、テキスト、解析、フォームなど全体の調整で少なくない時間を要しました。
配信の結果
ある期間の配信の結果としてはKPI達成率は約166%となり好ましい結果を残し、P-MAXでの配信で十分成果があったといえます。
下記の数字は配信初期の短期間にフォーカスしてを実数を基にしたものではありますが、長期間の配信ではもっとインパクトのあるCV数(エントリー)を獲得しています。
| CV数 | 表示回数 | クリック数 | KPI | KPI達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 5 | 21,482 | 1,401 | 3 | 166.67% |
※上記の数字は記事用に調整したものになります
この事例について
CV獲得(エントリー)の確保自体は過去に他社広告含めて実績があったため、CVまでのプロセスについては大きな不安はなかったものの、このような採用系の場合、一番の課題になるのが求職者側と採用側のマッチ度です。
このケースでも一番苦心した点は、そのマッチ度をどのようにコントロールするかが大きなポイントとなりました。場合によっては人はたくさん集まるものの、採用に至る人材が少ないといった状態になるため、広告含めてこのあたりをどのようにコントロールするかをじっくり協議、検討する必要があります。
toB向けサービスの問い合わせのP-MAX配信事例
toB向けサービスの問い合わせのP-MAX配信事例を紹介します。
サービス自体が競合性の高いサービスでかつ、参入障壁がそれなりにある事業体で市場としては十分に成熟しきった中で、事業の年数も浅く、事業としては導入期といえる状態でした。
このような中でサービスサイトの立ち上げを実施し、その後広告配信を行い集客を行い取引先の拡大を狙うという計画でした。
配信前段階
まずは目標値が無く、KGI,KPIがまったく決まっていない状態からのスタートです。GA4データもなく、頼りになる事前データが無い状態のため類似企業などのデータを参考に予測を立てる必要がありました。
予算も非常に低予算を求められたため、ペルソナ、事前リサーチが無い状態で広告設計が始めることになりました。参考にする情報はいままでの取引などの実績と、事業者からのヒアリング情報を基に広告を組み立てていきます。
配信
取引先によって繁忙期が大きく変わるサービスのため、いつ、どのタイミングで広告が求めらえているのかが見えない状態ではありましたが、同業、また類似事業のデータを参考に広告を配信。
設定に関してはシグナルとオーディエンスシグナルが初段階からパターンを作成するのが難しい点があるのですが、いくつかのツールを使うことでシグナルの件は解決させました。ただ準備期間の短さと、低予算での設計・配信になるためをロジックと配信バリエーションが少ないことが懸念点となります。
もちろんGA4、ウェブページ、などの設定と調整を実施。
配信の結果
| CV数 | 表示回数 | クリック数 | KPI | KPI達成率 |
|---|---|---|---|---|
| 51 | 172,253 | 2,560 | 36 | 141.67% |
※上記の数字は記事用に調整したものになります
この事例について
数字だけ見ると成功事例のように見えますが、実際は失敗事例です。
失敗事例とした理由としては、CVは取れていたが売上に結びつかなかったというのが大きな理由です。
広告の配信だけ見るとKPI達成をしているのですが、売上に直結しない。というのは広告配信しても結局マイナスです。長期的にみた場合は違う評価になるのかもしれませんが、短期的な意味で失敗の例になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。実際のP-MAXキャンペーン配信事例を紹介しました。細かい設計や運用、内容については詳しく記載が難しい部分もありますが、極力ポイントを押さえた内容としました。
今のところP-MAX広告を配信して大きく失敗することはない状態ではあるため、Googleが保有する媒体に幅広く、手間暇なく広告配信したい場合は「ちょうどいい」と感じます。
一方で細かい設定やデータが見れないため、どこでエラーになって、なにが成果の要因であるのかが見えにくいというデメリットがあります。他に転用し難い側面があることに留意しつつ、うまくP-MAXキャンペーンを使うと良いと思います。
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